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蹂躙するは我が手にて D国 設定 東蕪羅皇国(ヒガシ カブラ コウコク)について 【国土と移動手段】 　大小様々な数百の島からなる諸島を国土とする皇国。 島と言っても九州サイズとか北海道サイズが何個かあるので国土は案外広い。 島が点在している為、排他的経済水域がとても広く、移動手段として船舶が多く使われる。 そのためか、俗称としてドンブラ皇国と呼ばれることもある。 【統治者と歴史】 　国を治める皇帝は代々羅皇(ラオウ)の名を継ぎ、現在では第99代羅皇が国を収めている。 古来より伝わる歴史書によれば、数百ある島に存在した幾つもの集落が覇権を争いあった戦乱の時代があったそうな。 その争いを収め、全ての島々を併呑したのが現在もこの国を治める皇帝の始祖、初代羅皇である。 彼が初めに手中に収め、全ての始まりとしたのが国名の由来となった東蕪羅島(ヒガシ カブラ トウ)だとされている。 国名に東が付いているからと言って西蕪羅皇国がある訳では無い。 【畜産と食生活】 　食肉を目的とした畜産業がマイナーであるのは、東蕪羅皇国の特筆するべき点と言える。 海洋の環境が豊かだったが故に、古い時代から今に至るまでタンパク質の確保に躍起になる必要が無かった為、畜産の文化が発達しなかった。 そのため、貿易により簡単に肉が手に入るようになった現代でも、肉よりも魚が主菜とされることが多かった。 　『大量に使用されたガス兵器により水質が汚染され、食用の基準を満たせない汚染された魚ばかりが揚がるようになる。漁業中心の生活から畜産への方針転換を余儀なくされ、戦後の時代の流れの中で固有の食文化が失われていくことになった』(「東蕪羅皇国戦後の100年 食生活の移り変わりから見る戦争の爪痕」p.89) 【産出資源と貿易】 　島国である為鉱石資源が乏しいが、その代わりのように豊かな海と豊富な水源、そして多様な植生を抱える。 鉱石資源を自国で生産できない東蕪羅皇国では、他国に比べて金属製品の製作コストが非常に嵩みやすい。 そのため鉱石資源その物や金属製品は輸入に頼ることになるのだが、その代わりに輸出していたのが主に海産物と医薬品である。 豊富な水源と多様な植生から薬学が非常に発達しており、医療大国として名を馳せていた。 【皇国技術研究所】 　羅皇直下の研究所。現所長はHO4、荒金 執太郎(あらがね しゅうたろう)。 第三次大戦の開戦が囁かれる前は医療を研究するホワイトな施設だったが、今ではどブラック。 いかに効率的に敵兵の戦意を削ぐか、戦闘を継続できなくさせるかのみを考えた兵器を毎夜生産する施設になり果てた。 金属製品の生産にコストがかさむ為、輸入に頼らず量産が可能で効果が期待できる兵器として、ガスを主にした科学兵器が多く開発された。 化学兵器は条約で禁止されているが、戦時中の国家らしく『あくまでも兵器ではなく医薬品である』という詭弁を押し通した。 　終戦後、国内外から「やっぱ科学兵器だろアレ駄目でしょ」と吊るし上げられ、解体されることになる。 所長は終戦後、開発費から着服した多額の資金を手に高跳びしようとしたところを逮捕され、現在は処刑を待つ身である。 【兵器】 　皇国技術研究所にて開発され各国に渡っていった兵器は多くあるが、その中でも一等凶悪だったと語られるのが通称『夢香炉』。 神経内に蓄積されることで生体電気を阻害し、筋繊維の活動を停止させるガス状の化合物である。 　呼吸器から吸収された場合、まず肺から心臓へ、そして大動脈大静脈を通り全身の毛細血管へ成分が運ばれる。 血流が早い心臓や動脈付近では、細胞に取り込まれる前に成分が流される為、神経内に蓄積されるのが非常に遅い。 手足など血流の遅い部分に蓄積されやすい為、最初に症状が現れるのは右手や右足など静脈側の末端である事が多かった。 そして一度足に症状が現れると、全身に血を回すポンプの役割を持つ筋繊維が働かなくなっているため、全身の血流がどんどんと遅くなる。 そうして血流が遅い順に全身の筋繊維が動かなくなっていく、という工程を経て、最後に心臓が停止する。 　以上がカタログ上のスペックであるが、実際には心臓が止まるほどの吸入を強いる量のガスが一度に使われたケースはほぼ無かった。 基本的には四肢の一部が機能不全になる程度に噴霧された後、戦闘を継続できなくなった敵兵を歩兵部隊が制圧する、という形で使われた。 【荒金 執太郎】 　皇国技術研究所の現所長。座右の銘は『金で買えぬモノなどない』。 東蕪羅皇国の辺境の島の小さな村で生まれ、立身出世を夢見て村医者の下で薬学を学ぶ貧しい幼少期を送る。 生活費を稼ぐため、森へ薬草を摘みに行ったり薪を割ったりと肉体労働も行っていたが、栄養不足のせいか背は育たなかった。 　転機が訪れたのは26歳のころ。寿命でぽっくり逝った村医者の後を継いでいた彼のもとに、一報が届く。 『医者は身分問わず、老若男女気にせず雇い入れる。給金は腕に応じる。自信のある者来たれ』と。 体調の思わしくなかった第98代羅皇は、少しでも命を長らえる為に全国へお触れを出したのだ。 村を捨て皇国技術研究所の門を叩いた彼は、めきめきと頭角を現し、たちまち部門長へと昇り詰める。 給金もウナギ登り、都会の金銭感覚に脳を焼かれ、前述の座右の銘を打ち立てることになる。 　それから数十年の時が過ぎ、羅皇が代替わりし、世界情勢が変わり始めた頃には、皇国技術研究所の内情は大きく様変わりしていた。 医療を目的とした組織から武力を目的とした組織へ。金に貪欲に、需要通りの品を作り続けた彼は、ついに所長にまで上り詰めた。 幾多の化学兵器を作り上げる中で、僅かずつながら摂取してしまった薬品の影響で、眼筋が動かなくなってしまっている。 その為、あたりを目で回すことが出来ず、見回したいときは首を大きく振る必要がある体になってしまっている。 戦争が終結した暁には、南国の島に別荘を買い悠々自適に暮らし療養しようと考えている。いた。 現在は囚われの身。

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