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感情のない無表情な古書店の店主。小さく古ぼけた店構えで、裏通りにひっそりと居を構えている。 そこに買い物に来る人々は本が目当てではなく、店主が目当てである。一冊古書を買い、「このあと時間はありますか？」と問いかければ依頼は成立である。なにせ、古書店店長である彼の本当の姿は暗殺者なのだから。 どこにでもいる普通の少年だった。ただ、両親が不気味なだけで。 耐毒と称して毎日の料理には様々な毒が混ぜられた。人体の急所はどこで、どこを的確に刺せば人は死ぬのかと寝物語に聞かされた。そして、物心ついた頃には暗殺者の卵として世に放り出され、最終試験として人を殺した。優しそうな老夫婦だった。 両親は大喜びだった。今まで見た事のない笑顔で、彼を抱きしめて言ったのだ。「実の両親を躊躇無く殺せるお前は大成する」と。 両親は誘拐犯だった。そして、世界に見捨てられた暗殺者だった。ああ、自分はなんてことをしたのだろうと後悔しても遅かった。だから、殺した。偽物の両親が教えてくれた暗殺方法で。 古書店の店長に感情は無い。何故ならば、そこに必要なものは何もないから。

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