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幼い頃に親から捨てられ、まともな教育も受けてこなかったレオは、拾われた当時は読み書きどころかまともに言葉すら話せない有様だった。 かろうじて知っていたのは対価が無ければ何も手に入らないという世の中の仕組み。 自分という存在がいかに邪魔なものであるか。そして、生きていくためには何かから奪わなければならないということ。 夢も理想もなく、生きるという本能だけで生きる、ひどく薄汚れて痩せ細った子供だった。 ある日金持ちの大人から物を盗み取ろうとして気付かれ、大怪我を負わされる。 どうにか命は失わずに済んだものの動くことすらできなくなり、どのみちこのまま衰弱して死ぬのだろうと思っていたところで、とある人物に助けられた。それが「黒のウォルシンガム」のボスである男だった。 わずか8歳の頃の話である。 気付けば丁寧な手当を受け、食事と寝床、それから綺麗な衣服を与えられ、男の保護下に入っていた。 理由は何一つわからなかったが、自分が男に救われたのだと言うことだけは理解した。 見るからにぼろぼろの、今にも死にそうだった子供を拾った意図をレオは尋ねたことがない。どんな理由があったとしても構わないと思っているからだ。 あのスラムから救い出されたあの日、自分の人生を変えてくれた男……今では名義上「父」となっている男に対し、レオは深い感謝の念を抱いている。 組織に入ったのは自らそれを希望したためだ。男が元々そのために自分を拾ったかどうかは定かではない。 美しい金色の髪を持つ青年。落ち着いた性格で、平素はあまり感情を表に出すことはない。 誰に対しても丁寧な対応をする。所作も洗練されており、彼の普段の態度から元々孤児だったと悟る人間はそういないだろう。 ただし孤児だった頃の性質か、目的を達成するためにはあまり手段を選ばないところがある。

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