タグ： 梨PC

『長く短い夜想曲』 #2a83a2 現代文学を執筆している小説家 千三与太。 口先三寸で何とかしてきたタイプで、小説についてもそこまで真剣に執筆しているというわけではなく、 たまたま書いたらたまたま売れたので小説家を続けている。 生活に困らないほどの収入を得ているのでなんとなく続けている。 ・作業環境：デジタル ・編集者との関係：余計な関わりを避けたいので原稿パッと出すタイプ。本人からはあくまでビジネスライクな関係を築こうとすると思います！ デビュー作『鴎』 ヒット作『烏合』 目立ってこれが売れている！話題になった！ということはなく、知る人ぞ知る作家のようなイメージです！ 『　』 ========================= 耳に障る雨の音。 人々の会話。 その喧騒が僕には心地いい。 僕は毎日この音を聴いている。 しかしその中に、一つとして同じ音の組み合わせは存在しない。 待ち合わせをしている人、遅刻を謝る人、初めて会う様子の男女、ビジネスマンの挨拶……。 それぞれがそれぞれの事情を抱えてここに立つ。 だから、僕が退屈することはない。 「ほんとうに？」 声が聞こえた。そんなことは滅多になかったから、それが僕に質問するために発せられた声だと気がつくのには数秒かかった。 「ああ、僕は退屈していない。」僕は答えた。 「毎日同じ場所にいるのに？」子供のようなあどけなさの残る声だ。 「聴こえる音が違うんだ。少年には少し難しいだろうけど」 「そうかもね。」そう言いながら少年は僕に寄りかかる。やめろと声をあげかけたが、いつの間にか彼はすうすうと寝息を立てて眠っていた。 少年に寄りかかられながら、僕は今日も声を聴いた。いつも通りの生活だ。そして、最終電車が動き出す頃になると、僕は眠るのだ。 深夜。 「おはよう。」という声をかけられて目が覚めた。声の主はすぐ分かった。 「……やあ、まだいたのか。」 「いるとも」 「子どもはもう眠る時間じゃないのか」 「必要ないよ。それは自分が一番知ってるんじゃない？」 「…………。……それでわざわざ何の用だ？」 「昼間と同じ質問をもう一度しようと思って。本当に退屈していない？」 「……さっき言っただろう、退屈なんて——」 「辺りがこんなにも静かなのに？」 少年が問う。 その瞬間に訪れたのは、飲み込まれそうなほどの静寂だ。 くらく しずかなせかい 僕は思わず黙り込んだ。 少年は構わず言葉を続ける。 「寂しくなったらついておいでよ。」 そう告げて少年はこの場を離れる。 僕は暗闇に消える彼を見送って、静寂に浸った。 ああ、なんて寂しい世界なのだろう。 やがて僕は耐えられなくなり、彼の姿を追った。 その先にあったのは、僕と同じように寂しそうに佇む一つの洋館だった。 ========================= 作家辞めます！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！

※歌詞を引用、及び記載することは禁止となりました(Youtubeや歌詞サイトのURLだけ書くことをお勧めします)。
↑ページ上部へ