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「ダジャレおねえさん、もとい石ヶ谷くくりでーす♡……またまたよろしくですねぇ、探偵さん方？」 「犬歯の検診、というわけですか……にゅふふふ」 「んふふ。ほんっと、反吐が出そうな正義感ですね」 白髪眼鏡なダイナマイトばでーおねえさん。駄洒落とシモな話が大好物。 元官能小説家であり知る人ぞ知るスーパーレジェンド"谷崎潤衣"その人である。 お医者さんの旦那がいるが再婚相手であり、連れ子の娘とはスーパー関係が悪い。 つい昨年家出されるわ戻ったらすぐ一人立ちされるわで寂しい母親をやっている。 絶賛無職なのも相まって暇を持て余しており、気に入った男や女を摘まんだりして時間を潰している。 趣味は探偵事務所を冷やかすこと。 最近のお気には自分を嗅ぎまわっていたちんまい眼鏡探偵と、素直になれないお嬢様探偵。 旦那の前妻とは旧知の仲であり、くくりが援交で家族の日銭を稼いでいた頃に色々と仕込まれた。 ベッドでの作法から、本、勉学に渡るまでくくりの人格形成に多大な影響を与えた悪女である。 くくりが大学生になったころに他界している。 丁度その時期に、くくりは娘を身籠った。 父親はわからない。家族からも望まれない。誰からも祝福されない子だった。 どうして彼女を産んだのか。そしてその上でどうして捨て去ったのか。 未だ夢に現る誹りから目を背けたまま────悪女は今日も不敵に笑う。

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