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田原　恵(タハラ　メグミ) 黒髪黒目短髪。社会人ではあったため、髪は常に整えられている。 やや体が小さく痩せ型ではあるが、目鼻立ちも整っており、肌も綺麗にしているので、おおよそ見れる容姿である。 ────── 逃げ続けている。 人間とは当然の様に何かを抱えて生きるものだ。 いや、人間という括りでこれを述べるのはきっと間違っているのだろうが、私の様な矮小な人間の視野ではその程度でしか物を語れない。世にあまねく動植物など生あるものすべてまでに目を向けていては、それこそちっぽけな私は簡単に壊れてしまう。 さて、我々は何を抱えて生きるのか？ コレに関しては千差万別である。当然のことではあるかもしれないが。 例を挙げればそれは幸せだったり、悩みだったり、来歴や負債だったりだ。例に挙げるのも鬱陶しい。もうそれはそれは何かと抱えているのだ。 そして、私の場合それがたまたま、そう、たまたま罪の意識だったというだけだ。 知らんが、よくある話ではあるのだろうか。 まぁともかく、私はこの世に生を受け、どうしようもない物心を備えてからこの方、永遠にいらぬ罪の意識に苛まれているのだ。自分の戒めに必要な場合も当然あったのだろうが。 自分自身こうして省みてもなんとも度し難くまるでネチネチとした腐った性根ではあるが、気付けばこうなっていたのだから仕方あるまい。 要は私は、この世界全ての人間に対して何かしら罪の意識を抱いているのだ。 例えば、通勤のための電車内。 私は空いている椅子に座る。だが、数秒後にはこの様な思考が現れる。 「私が座っていることで、あそこで立っているあの人は座れなかったのだ」 さて、ご起立されているご本人は今にも次の駅で降りそうだなぁという場所には立ってはいたりするのだが、それでも私のこういった思考は必ず現れる。 私というちっぽけな人間を、私のどこからともなく現れた思考で咎め続けるのだ。 これは本当にどうしようもない。客観的に考えれば、「だれも悪くはない」「そんなことを考えていても仕方がない」と、開き直って然るべきだ。 しかし、そんなことで止まる罪の意識なら苦労はしていない。私はこの人生を歩む上で、終わりのない気苦労にこの心をじわじわと蝕まれ続けているのだ。 どうしようもないよな。お手上げだよな。でも私だってどうにかしようとはしたさ。 自分なりに蓄積したストレスを解消する方法はあらかた試した。 よく寝た。よく食べた。適度な運動で良い汗を流した。歌を歌ったり、写経などにも手を出した。アロマやヒーリングミュージックにも頼ってもみた。 はっきり言う。全て無意味だった。 なので走った。 暇があれば限界まで走ったのだ。 全ての私より遅いものを抜き去り、置き去りにし、 街灯など照明が視界の端から端へと次々消えていく。 発散のためにと行っていた運動が幸いして、 いつまでも走っていけそうだった。 身体の震え痛み、呼吸の難度に喘ぐ肺、脆弱な脳みそがまるで私のようにぐちぐち言い始めても走る。 ただひたすらに、がむしゃらに、逃げる様に。 そうしている間だけは、私は鈍くて重い背中の十字架から逃れることができていたのだ。 この無様な性根を抱えたまま、何故かしら職に就くことができているのは極めて滑稽かつ僥倖だが、まぁ、この度いよいよやらかした。それも、我が生来の罪の意識によって人にヘコヘコしていたことに起因するものだ。 嫌だった。 ただでさえ身勝手な性質が、とうとう本当に人様に大きな迷惑をかけてしまった。惨めだ。あまりにも。消えてしまいたいとまで思ったのは初めてだった。この初めての感情に、私はもちろん免疫なんてなかった。さんざ自分を咎めておきながら、いざ他人に咎められることに私は極度に脆弱であった。 これもまた、滑稽である。私は微々たりとも笑っていないが。 さて、私は今日、この生に区切りをつけようと思う。 死ぬなら速度が出るものがいい。 私はこの通りの阿呆であった。 来世はきっと人間でなければいい。 吸血鬼化した時の技能 芸術(バットダンス):71 AF　吉兆の印　ネタバレ我が牙

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