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それなりに大成した家業を実家に持つ次男であり、学生時代放蕩していた彼は半ば勘当に近い形で安いアパートで生活している。 勘当に近いとはいえど仕送りはそこそこあり、あまり金銭には困っていない。 放蕩の延長でもあり趣味と実益を兼ね備えた趣味として探偵業を営む傍らで、ほぼ趣味100％で占いも請け負う。 探偵事務所「天野占星院」は今日も閑古鳥。さて今度はどこにいこうか、なんて退屈そうな天野のあくびが響くばかりである。 占いなんてやっている割にオカルトやスピリチュアルへの関心はゼロ。占いは心理学や人間観察の結果で行うし、 霊的なものは実害がないならば否定も肯定もしない。 実害があるならば対処はするが、霊の存在云々よりもまずその実害に対応する。 占いにはタロットなどの小道具を持ちだすほかに星占いなんかもたしなむが、結局手元の動きが変わるだけでやることはほぼ同じであり、当たり障りのないこと言ってその場を流す、しょせん趣味以外のなんでもないし、本当に問題を抱えている患者が相手ならば、それは占い師や探偵なんかの出番じゃあなく、 医者やあるいは警察の世話になるべき人間だ。あくまでそこに促すくらいのことはするけれど、抜本的な解決なんか占いに、他人に求めるべきじゃない。 というスタンスは崩さない。 人間は未知を恐怖し、だからこそ理由をつけて安心したい生き物だ。という言葉を半ば信仰のように妄信しており、 また本人もそれに倣う。ゆえに、わからないものは怖いのだ。 「最近妙に誰かの気配を感じることが多いけれど、まさかストーカー？ 恨まれる覚えは、まぁなくはないけれど、探偵を尾行しようなんて面白い。 ただ、実態がつかめないのは気味が悪いな、どうしたものか。」

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