タグ： 耳の怪物 耳

1メートルは下らない巨大な耳。右耳と左耳、本来なら両者の間にある頭部は存在せず、その二つが左右対象にくっついている。まるで接着された蝶の羽のようにも見える。首はなく、耳たぶの部分が胴体とつながっている。そう、胴体がある。食べすぎの幼児のような身体、短い手足にぷっくりと膨らんだ腹部。その体の色は日本人と同じうすだいだい色である。 ”其”の腑分けされた部位、そのうちの一つ。 かつて、”彼女”の声を聴き、言葉を聴き、歌を聴き、寝息を聞いた部位。敵の気配を、声を、息遣いを、叫びを、”其”へ届けた部位。 今となっては酔いに呑まれて使命も役割も忘れている。ただ無意味に暴虐の限りを貪り、ただ自分の悦楽を求めて生きているのみだ。 業 おおよその音の録音、再生が可能。録音した怪物の声や他の音などを再現できる。お前らニンゲンを狩る時にはこれをやると、驚くほど狼狽えるんだよな。嗤える。 性癖 かつて部位の戦争においてその取り込んだ音の全てを一気に放出することで攻撃手段としていた。それは既に音を超え、衝撃波として数多の生命を砕いてきた。"皮膚"、"筋繊維"、"爪"の3体を相手にした"耳包囲戦争（第五次部位戦争）"はこの力によって終結した。 大力 なにもかもをめちゃくちゃにする圧倒的な暴力。もともとの力に加えて腑分けされた部位”筋繊維”を手に入れているためその力は圧倒的なものとなっている。また、その力と”筋繊維”、”皮膚”によってその肉体の強度はとてつもないものとなっており、通常兵装で傷つけることはほとんど不可能である。なにか特別な力か、同じ力でも用意することだ。出来ればの話だが。 芸術（悲鳴鑑賞） ヤツは悲鳴を、断末魔を、"声"を収集している。それを自分で再生して楽しみ、次の収集に使用している。 お前らの声は特に素晴らしい。今まではあいつら（怪物種）を殺して悲鳴を収集していた。それも面白い、いいものだったがキミ達の方がいいものだ。特に最期の声は良いものだ。だが、キミ達はなかなか死なない。あいつらに任せていても一向に悲鳴が聞こえない。つまらない。だから、自分でやることにした。最高だった。もがいて足掻いて抗って、全力を出し切ったのにどうにもならないということを理解してしまったとき。手足を折って、へし曲げて、もいでやったときに出すあの悲鳴、絶叫、断末魔。苦しんでいる声。あぁ何もかもが他のものに変え難い、唯一無二のものだ。面白くて、楽しくて、可笑しくて仕方ないよ。さあ、次はいつ遊べるかな？たのしみだ。

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