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「果て果て」 HO2　死神 その日、貴方はHO1に死を告げる。 朔(ついたち)組若頭。所謂ヤクザ。 ミステリアスな雰囲気のお兄さん。掴みどころがなく飄々としている。ヤクザらしく物騒な面もあり、そこそこ長い間この世界にいるため暴力等倫理的によろしくないことに対する抵抗は薄いナチュラルバイオレンス。部下が多いのもあって面倒見はいいほう。でも近寄りがたい雰囲気があるので新人からは怖がられがち。喋り方は穏やかだが出てくるワードはあまり穏やかではないし見た目に反して所作は案外おしとやかではない。舌打ちとかもする。 組の中ではかなりの古参のため高い地位におり時期組長でもある。主な仕事は情報収集や暗殺。喧嘩よりも口で丸め込んだり取引をしたりというほうが得意。腕っぷしにはあまり自信がない。 年齢は秘密。誕生日は11/15のさそり座。血液型はA型。右利き。一人称は僕。 好きなものは煙草。ヘビースモーカー。紙巻きたばこよりも煙草本来の味を楽しめるのでキセルで吸うのが好き。口寂しいのが苦手で、煙草が吸えなかったとき用に飴玉も常備している。甘いものも好きなので飴も甘いやつ。実は晴れ男。 髪が長く、顔立ちも含め女性的な雰囲気がある。瞳の色素が薄いが光が当たると青く反射する。基本的に和装。顔を見られないよう普段は黒いフードを被っていることが多い。金色のピアスをしている。血が付いても目立たないように黒手袋着用。足元は足袋に雪駄。正直見た目で普通に浮くが逆に一般人は近寄ってこないので都合がいいと思っている。 生まれたときから父親がおらず、母子家庭に生まれる。父親は母親を孕ませてすぐに責任を取れずに逃げ出しており、光はそんな父親に髪色や瞳の色が似ていた。母は光のことを疎ましく思っていたが、母が当時付き合っていた彼氏との子供、光にとっての弟が生まれるとそれが爆発してしまう。母は自分に似た弟ばかりを可愛がり、光のことは徐々にいないものとして扱うようになった。弟は明るい性格で母がどれだけ光に辛くあたっても弟だけは光のことを蔑ろにしなかった。また光に対して申し訳なく思う気持ちもあり、光も弟のことは嫌いになりきれないでいた。 しかし、光が中学生、弟が小学生のときに弟が交通事故で亡くなってしまう。誰も悪くないような不幸な事故だった。愛する息子を失ってしまった母は精神をおかしくしてしまい、光のことを弟として扱い、兄である光を亡くなったものとして扱うようになる。母の愛は受けられるものの、弟のように振る舞うよう強制され偶像を押し付けられる状況に耐え切れず家を飛び出してしまう。 行くあてもなくふらふらしていたところを当時発足したてだった朔組の組長に拾われ、構成員として働くことになる。 光は「月永光」として母に愛されず、存在を認められなかった。その反動で「月永光」として成り上がることに意味を見出している。母の現在の所在など興味もないし顔も二度と見たくないが、自分が自分のまま生き続けることが母への復讐になるとも考えている。髪を伸ばしたのも一人称が僕なのも弟との違いを作るため。名をあげるため、組内での出世のチャンスを逃さないようにしてきた結果若頭にまで登り詰めた。光にとってはその名が名声でも悪名でもどちらでも構わない。 また路頭に迷っていた自分を拾ってくれた現組長に恩を感じていること、出世し責任ある立場になったこともあり組への愛着があることも事実である。血のつながった家族が縁切り状態の母親のほかにいないため、組を自分の居場所のように、構成員を家族のように感じている。愛着があることは間違いないが、「月永光」としてこの家族の中に在り続けることも復讐だと思っている。 しかし、ヤクザとして名をあげればあげるほど「朔組若頭」の称号に囚われ、結局ただの「月永光」で在れる場所が失われていくというジレンマも抱えている。 ある日、駅前の交差点で交通事故に遭い植物状態になってしまう。 事故のあと、どういう訳か気が付けば病室の中でパイプ椅子に腰掛けていた。目の前には病室のベッドに横たわる自分の姿がある。酸素チューブを付けて眠るもう1人の自分はぴくりとも動かず目も覚まさない。光が困惑していると部屋に1人の医師が入ってきた。彼は光を見てこう言った。 「君は植物状態になってしまったんだ。このままではもうじきに命を落とすだろう」 とある方法で幽体離脱させて魂をこの世に引き止めている状態なのだと医師は言う。 この魂を元の身体に戻すには、事故に遭った際一緒にいたHO1を殺すしかない。そうすれば死亡した人間と生きている人間の魂の数の辻褄が合い、光の魂は元の身体に戻る。 どうにかして今も生きているHO1と接触し、仲良くなり3日目に殺せというのだ。 何故仲良くなる必要があるのかについては「魂の距離感が物理的にも精神的にも近い方が成功しやすい」とのことだ。3日という猶予は、HO1の心の整理とこちら側の準備のための期間だという。 医師からそのような説明を受けたあと、光は小型のナイフを手渡された。 しかし、光はどういう訳かその伝えてきた医師の顔や名前を覚えていない。ただ彼の声だけが耳に残っている。 次期組長である自分が突然死ぬわけにはいかない。現組長も健在ではあるが自分が死んだことによる組への影響は計り知れない。目をかけている部下もいる。そしてなによりも自分は生き続けなければならない。自分が「月永光」として生き続けることこそが生きる意味だ。そのために自分ではない「死神」にならなければいけないとは皮肉なものだが。それでも組のために。復讐のために。 どうにかして3日でHO1を殺さなくてはならないのだ。 そうして光は午前10時、駅前の交差点で信号待ちをしていたHO1に声を掛け、こう告げる。 「僕は死神。そして君はあと3日で死ぬ」と。

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