タグ： 海も枯れるまで

両親と娘の仲睦まじい3人家族に突如不幸が訪れた。 暴走したトラックが家族が乗っていた車に突っ込んできたのだ。 母親は足に後遺症が残ったものの生きていたが、娘と父親は死亡してしまった。 絶望し無気力になっていた母親に、医者が吉報を届ける 「ご懐妊されています。」 母は思った、この子のためにも強く生きていかなければならないと。 母は強しというのか、その後裁判やらなんやらを乗り越えた先で、切迫早産などの危険に幾度も晒されようとも出産。 そうして祝福されてその子は生まれた 変化は徐々に訪れた。 「まま」 成長して段々と喋るようになった帳が初めて母親を呼んだ時、母親は帳の成長を喜ぶ前に死んでしまった娘を思い出した。思い出してしまった。 だってあまりにも似ていたのだ、覚えている、覚えている、まだ小さかったあの子が懸命に自分を呼ぶ声を この子は娘の生まれ変わりなんじゃないか？なんて馬鹿げた妄想すら浮かんでしまった さらに帳は成長する。 つかまり立ちをし、幼稚園に通い、小学校に入学した。 どんどん愛する夫に顔立ちが似てくる我が子を母親は愛おしげに撫でていた。 ある日母親は熱を出した。40℃を超える高熱で、何もかもがままならなかった。 そんな母親を帳は必死に看病した。 ……母親はそんな帳の姿に夫を幻視した。 彼女は帳を愛していた。そして夫も娘も愛していた。 彼女は限界だった。 彼女はだんだん帳を娘の名前で、夫の名前で呼ぶようになった。 ある時は娘に接するように、ある時は夫に接するように、帳に接するようになった でも、彼女が夜中にふと目を覚まして泣いている時だけは帳を帳の名前で呼んで抱きしめてくれた。 帳は分からないなりに母親が喜ぶように振舞った。家にあったアルバムを引っ張り出し、小さな頭で考え、求められたように振舞った。 そんな生活を高校まで続けていた頃、ついに帳の家庭が破綻していることが明るみに出た。殆ど縁が切れていた祖父母が母の異常に気づいたのだ。 母親は精神病棟に入れられた。 祖父母は帳を引き取ろうとしたが、茫洋とした目をした母親を罵倒し引きずっていった人間の世話になるつもりはなかった。 後から分かったことだが、祖父母は帳と母親が所有していた遺産や賠償金が目当てだったのだそうだ。 幸い母の知り合いだという弁護士が間に入ってくれたため、母親の責任能力云々を理由に祖父母に掠め取られることはなく、遺産は全て帳の管理下になった。 全てが嵐のように過ぎ去ったあと1人残された帳に、弁護士の友人だという男が声をかけてきた 「演劇をやらないか」 男もまあ相当まともな人間ではなく、保護が必要な傷ついた子供相手に慰めるでもなくそのような提案をした。 帳は頷いた。演劇に興味はなかったけど、何か埋めるものが欲しかった。 人のいい劇団員の勧めで辛うじて高校は通っていたが、ほとんどの時間を劇団に入り浸って過ごしていた。 帳はあっという間に有名になり、高校卒業後は役者として活動するようになった。 役者として賞賛される傍らで、帳はずっと希死念慮を抱いており、特に”そういう”役を演じた時は自殺をしようとする悪癖があった。 母親が衰弱死してからは尚更だ。 帳は何度も何度も自殺しては何度も何度も生き残ってしまっていた。 ※母親は息子のおかげで乗り越えられたと思ってたけど全然過去に囚われていた ※帳は憑依型役者でよくメンタルや人格がその日やってた役に引っ張られる。元から希死念慮持ちの死にたがりなのでそういう役の時は特に酷い。 【基本情報】 名前: 白鳥帳 年齢: 23 血液型: B 利き手: 右利き、左も使える 特技: だいたい何でも(何か挙げろと言われたら手品と答えている) 備考: 芸名は無く本名そのままで活動している。 SNSは基本やっていないが、役作りの参考として何度か触っている。 基本的に無気力で生活力もなく、放っておくと死んでしまいそうな雰囲気を漂わせている。 演技のためにはなんでもするし、なんでもさせられてきた。 何でもするというのは無気力が故に命令されたことをそのままなんでもやるという意味で、積極的という意味では無い。 演技に対しても意欲的という訳ではないが、演技を抜きに生きていく自分が想像できない。 帳にとってスポットライトの下で別人として生き別人として死ぬことは好き嫌いを論じる場所に無い 父似

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