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競技ダンスをしている大学3年生。高校を卒業してから1年間イギリスにダンス留学にしていたので、日本の大学には1年遅れで入学している。 幼い頃から、整った容姿と確かな技術、大会でも物怖じしないメンタルから好成績を残し、いくつもの賞を取っている。 好きな種目はヴェニーズワルツを中心としたスタンダード。クイックステップは忙しいからあまり好きではない。見る分にはラテンも好むが、やる分には聞いてて上がるスタンダードの方が踊りやすい。 中学までは、スタジオでペアを組める男子で自分より上手い子がいなかったため、リーダーを務めることも少なくなかった。時々パートナーで大会にも出ていたが、成績はまちまち。高校から安曇真尋とペアを組み、それ以来はパートナーとして注目を集めるようになった。 世界は自分中心に回っている。自分が何をしてどう生きるのかが大事で、そこに他人が干渉することは、自分から向かわない限りないだろうと思っている。それと同時に、他人も同じように生きていると思っているので、他人の人生とぶつかり合って関わりが生まれるのなら、その縁は大事にしているつもり。 だからこそ、自分の人生において競技ダンスのように自分と同じステップを踏んで生きる、自分と同等にその枠に入れる人間は、片手程度しかいない。その中の一人が真尋。 「ねえ真尋、あなたはどんな風に踊りたい？」 以下、ハイフェッツをなぞる病 HO天才　内容あり この人が自分の手を取っている限りは、孤独になることはないように思えた。 幼い頃から、この舞台に立つにふさわしい自覚はあった。他人から言われる言葉も含め、練習をすればするほど身についていく自分自身を誰よりも認めている。しかし、ペアダンスという競技にいるからこそ、その才能はギフトであり枷でもあった。どちらかが劣っているか、あるいは秀でているだけで、それは致命的な歪を生み出すからだ。たくさんの大会を見て、参加して、才能があるからこそ理解した。自分の才能でこの美しさが崩れてしまうことが嫌だった。 だからと言ってレベルを下げられるほど器用ではなく、プライドがないわけでもなかったので、真尋に出会えたことは幸運だとも思っているし、叶うならいつまでも彼には努力を積んだ上で、自分の隣に立っていてほしいとも思っている。 それが叶わないのであれば、真尋が競技ダンスを辞める時は「一緒に辞めてほしい」くらい言ってくれたら面白いな、と考えている。言われたら頷くくらいには、真尋と踊る今が特別で、好ましい。

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