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食料危機にあったシェルターで聖女と崇められていた食用ドール。元は好事家が猟奇的な欲望を満たすために作らせた存在だが、最終戦争の動乱の中で偶然、民間人の居住区画に流れ着いた。 基本的なスペックは食用に改良されたセクサドール。使用者の支配欲を満たすために自立心を補強され、他者から向けられる情欲には嫌悪感を持つように設計されている。簡単に心が折れて従順になるようでは興醒めだからだ。 特殊な蛆虫の持つ酵素によって熟成された、食べても食べても無くならない甘美な肉。品種改良を重ねられた彼女の臓腑は、飢え渇く人々にとってパンと葡萄酒そのものであった。シェルターの救い主たるレイチェルは瞬く間に信仰の対象として祀り上げられ、その波はシェルター全域に伝播した。そうしてレイチェルは教団の聖女となったのだ。無論、彼女の意志とは関係なしに。 いと慈悲深きネクロマンサーはレイチェルを自身の作品に加え入れる際、彼女が愛する蟲たちと近しい存在に成れるように、変異昆虫の器官を移植してやった。硬い外皮や羽根を備えた異形の肉体は彼女の自我を守り、腹の中で蠢く幼虫にとっては最良の住処となる。 しかし、舞台には掟があり、脚本家(ネクロマンサー)の筋書は絶対だ。彼女は姉妹を護る盾、それを果たすためならば、たとえ愛しい腹の子だって、余さず差し出さねばならない。もとより、たとえ泣いても拒んでも、彼女の身体は自然とそう動くように作られているのだが。

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