タグ： 海も枯れるまで

凪 湊斗（なぎ みなと） 元バレエダンサー。左腕に自傷の痕がある。 その外見故に目立つことに慣れていて、海外（フランス）に長く住んでいたこともあり、意志表示・アピールははっきりとできる。 同時に家族へのコンプレックスの意識が強くどちらかといえば内向的。 人と仲良くなるのに時間がかかるタイプで、仲良く或いは心を開くとどちらかというとべったりになる。 よく言えば粘り強く、忍耐強い。執着心の強さにも直結する。 期待されていない三男坊 事業家の父、舞踏家・振付家の母 父の事業を継ぐ聡明な兄 母のスタジオを継ぐ一挙手一投足が美しい姉 「のびのび過ごせば良い」という優しさの皮を被った無関心(と本人は捉えている)のもとに育った。 天才肌の家族に比べて凡庸。 子供の頃のテストで94点を取った時に叱られるでも呆れられるでもなく「あら…」と見た事ないものに驚く母と、「そうか」とテレビのチャンネルを切り替えるかのように兄の進路の話をし始めた父の事が忘れられず、漠然と「諦められた」ことへの絶望感や恐怖心が無自覚に堆積している。 兄や姉も天才でこそあるものの、「自分がどこかでしくじれば弟のようになる」というプレッシャーから余裕はない。親は期待の押し付けではなく愛情と信頼をもって子供の能力に見合った道を整地しているに近しく、子供から見てもそれが最適解なのがわかってしまう為反骨の余地もなく、親の強制を伴わないが故に逃げ場すら用意された上でなんとなくひりついた日々を送っている。そのため兄姉は自分達とは一段も二段も低レベルな道を舗装された弟を見ると安心するのでそういう意味では優しい。 湊斗本人はそれを直感的に感じ取っている為、兄と姉へ一方的な言語化できない苦手意識がある。（家族を苦手に思う自己嫌悪も形成されている） それでも世間的には十分に持て囃されるほどの天才(と見紛うばかりの秀才)ではあり、そして何より美貌だけは図抜けている。 幼い頃から様々なスカウトも勿論きたが、親は一貫して「好きに選んで良い」という具合だったから、張り合って家族の視界に入る為に母のスタジオで習ったバレエを続ける事を選んだ。 コンクールは全国数々のものに出場し、金賞をとって「まあ悪くなかったね」。 コンクールのスカラシップで12歳で渡仏した。 バレエ団のスクールに所属・入寮後、言語の壁などを感じながらも頭角を表す。この頃には姉はダンサーとしての意識からやや疎遠になっており、電話越しの兄からは悪気なく「のびのび楽しそうでいいな」と言われ兄姉との溝は静かに深まる。 18歳でバレエ学校卒業後そのまま入団。卒業公演を間近に控えた時に母親が体調を崩し入院、公演に家族は誰も来なかった。自ら父親へ入団の連絡をした時に返ってきた端的な「おめでとう」が唯一のなぐさめになる。(母はその後退院しているものの家族関係の悪化から連絡が一層疎遠になっている。家族関係の悪化を湊斗は知らない) 入団後もソリストの役もこなし順調に1ランク昇格、幸運にも来日公演に出演が決まる。しかしようやく家族に見てもらえると思った矢先に怪我を負いキャストは交代。踊る事でしか自分の価値を示せない、見てもらえないのに、と視野狭窄が加速する。 怪我は全治半年と長く、その間に同輩はさらに昇格し焦りから追い詰められるも師事しているコーチの支えでなんとか精神を保つ(コーチに対して無自覚にやや依存)。とはいえ不安感や家族に見放されることへの恐怖心から不眠も併発しこの頃から睡眠薬を服用するようになる。 なんとか辛抱強く怪我の完治まで漕ぎ着けるも、その後もブランクのリカバリーに苦しむ。個人レッスンも追加して復帰に努めるが、気の焦りで悪循環のスランプに。そして同時期に上述のコーチの結婚の報を聞き、そこで初めて自分がそれを祝福できないことに気付き、身勝手な喪失感と強い自己嫌悪で精神状態がさらに悪化。 それでも自分が人に見てもらうには踊るしかないと強く思い込み、またそれを誰にも打ち明けず無心でレッスンに明け暮れた結果、レッスン中に突然倒れる。それ以降、体調は回復したはずなのに、振付なんてとうの昔に染み込んでいるはずなのに、音楽を聴けば勝手に動いていたはずの体が全く動かなくなった。(イップス) 「自分がいるとレッスンを中断させて邪魔になる」、「自分はもう踊れない」、彼にとって自分が完全に無価値になった瞬間だった。これが20歳のこと。 休養を言い渡されるも、団に籍があること・健康な体があることで希望を捨てられない惨めさに苛まれ、また休養といえどこんな状態を説明して家に帰れるはずもなく、自分は踊れないのにバレエと近すぎる環境からパニックを併発。この場にはいられない癖にバレエ団や踊る事そのものへの未練を持ってしまっているのがいけないと錯乱し、自傷行為により目につく箇所に自分の体に外見的に誤魔化せない跡をつけて自主退団を選択。 フランスでの暮らしはどうしてもバレエがちらついてしまう苦しさから家族には黙って帰国。都内郊外の適当な賃貸を借りるも、完全に塞ぎ込み、発作的な自傷行為を繰り返すようになる(左腕が主)傷跡が増えるにつれ、もう自分に価値はない、見つかりたくない、死ぬしかない、と漫然に思い自殺願望が強まる。（潜在的には死への恐怖が強く足掻いている状態） 貯金が尽きたら、と仕事をするでもなく外見が目立ちにくい夜間にマスクをして適当なクラブやバーに入り浸り、酒の席で素顔を見られた相手とはそれなりに遊び、時折携帯を見ては家族からひとつの報せも来ないことに静かに絶望しては無意識に期待していた自分に嫌気がさしてまた自傷に走る　ODなどの自殺行為に安易に走らなかったのは死ぬ事への恐怖以上に、万一失敗した時に生き延びた上に家族へ連絡が行く事への恐怖心からだった 海へ行ったのは偶然。金がそろそろ尽きるから死に場所でも探しに遠出をしようと散歩していた際、夕陽がとても綺麗で、あの太陽が沈むとまた明日が来てしまうのだと思うと途端に無性に恐ろしくなって、置いていかれたくなくて、発作的に太陽を追いかけるかのように海へと跳んだ。21歳。 ------ 『海も枯れるまで』通過後 2024.10.31から2ヶ月間、あるいは2卓分の不定の狂気によりチックに陥る シナリオ内の後遺症で顔に大きな傷ができる。 HO2の浅波大洋を保護。実家に戻り父にこれまでの仔細を話し、謝罪後、和解。 大洋くんとの生活環境を整える。

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