タグ： ドロップアウトディスパイア

フリーランスの秘書……裏の顔は殺人鬼。遺書屋の「届人」として、殺した相手の遺書を必ず相手に届ける。 好きな酒はバーボン。ストレートで飲むのが好み。タバコは吸わない。伊達メガネ。 殺しはほとんど相棒が行う。彼女の仕事は専ら後片付け。「荒事が苦手」とは本人談。なお周囲の評価とは食い違いがある。 「殺すつもりはないよ。遺書を書くまではね」 「届け先は？」 「必ず届けよう」 ーーー 過去 ーーー 両親の顔を知らない孤児で、相方の「殺人」岡田以蔵が所属する極道組織の二次団体に拾われて育った。育ての親はやくざ者だが彼女がまっとうに生きられるよう願っていた。 掟上がまだ幼かったころ、内部抗争が起こり、事務所が襲撃される。 騒ぎを聞いて駆け付けた彼女が目にしたのは、横たわり血を流す義父と、銃を持った男の姿。 気づいたときには、死体が二つになっていた。血で染まった己の手を顧みぬままに、義父が使っていたデスクを見やると、そこには一枚の封筒が。つい先ほど男の頸動脈を突き刺したペーパーナイフで封を開けると、果たしてそこには見慣れた万年筆の筆跡。 義父の遺書だった。 それから十数年の月日が経ち、彼女は「遺書屋」になった。血と鉛が飛び交う抗争の中で出会った「相棒」とともに。 死者が最後に遺す言葉に惹かれるようになったのは、赤に汚れて読めなかった義父の想いを求めてのことか。 本当のことは、掟上自身にもわからない。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　『掟上の遺書』 「殺しているんだ、殺されもするさ。死に方を選べるとは思っていないが、弔われ方は選べる。君がいるからだ。 墓は作るな。ただ覚えていてくれ。君が、私を私として殺してくれ。 地獄でまた会おう。」

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