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芸術家ベース 一人称：おれ 二人称：きみ、あなた、～さん 志波 和城：和城さん 「ずっと覚えてた。……綺麗だったから」 「ねえ和城さん、また会える？」 「……あはは、和城さんが気負う必要はないですよ。おれが勝手にあなたに惹かれてるだけなので。あなたを世界で一番きれいだと思う人間がいるってことだけ覚えておいてください」 昔、家の近くの公園で飲んで潰れていた和城を起こして、ちょっと話しをした思い出をずっと忘れられなかった。(13歳のころ) 見かけたときには声をかけたこともあったが、そのうち姿を見ることがなくなって、ああ家を出たんだな、と察した。家が近かったから、医者の家系の人だと後で知った。 安定した人生に嫌悪感があるのも、 誰かの命に関わる仕事に就きたくないのも、 責任を負うのが嫌いなのも、 誰かと深く関わることが怖いのも、 臆病で、優しくて、心が柔いからだと思っている。 安定が崩れること、他人の命を預かること、期待を裏切ること、関係が切れること。これが起こるくらいなら、初めから”ない”ものにしたいんだろうな、と。 出会ったころは自分も義務教育の年齢だったし、不安があるのだろうなと漠然とした感覚しかなかったが、大人の年齢に踏み込む今は和城の恐れるものが理解できた。 恐れているものを退けてあげたい気持ちと、その心の奥を覗かせて気持ちが綯い交ぜになって、腹に熱がたまる。

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