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UGNT市支部支部長。仕事のできる男。仕事ができすぎるが故に様々な苦悩を背負いこむタイプ。 普段は息子にでれでれ甘々な父親だが、仕事の上で必要であれば非情かつ冷徹な判断を下すこともある。 それは例えば、百を生かすために一を殺す決断であったり、千を助けるために己を削る選択であったり。 強い正義感と使命感からくるものだが、その根底にあるものは優しさである。 「正義の味方なんて、立派なものじゃない。 　俺はただ——できるだけ多くの人が幸せに生きていけるよう、願っているだけさ」 息子は新 広輝（あたらし・こうき）。小学校低学年。 「ヒーロー」が好きで最近のブームは「素顔ランナーGⅤ（ジーファイブ）」（日曜朝9時からやっている素顔を晒して戦うヒーローものの5作目）。 妻は非オーヴァードのUGN関係者で、4～5年前に亡くなった。 いわゆる不治の病であり、真昼はあらゆる手を尽くして、それこそオーヴァード化まで視野に入れて彼女の病を治そうとした。 しかし、妻はオーヴァード化には絶対に同意しなかった。 「私がもしジャームになれば、貴方は貴方自身の手で、私を処分をするでしょう？ 　その時になればその判断をする、ではなく、もう既にそうなった時に責任を取ると決めた上で、私にその選択肢を提示している、でしょう？ 　貴方はそういう人だもの。 　だから、私はオーヴァードにはならない。万に一つでも、優しい貴方にそんなことは、させられないもの」 全て見抜いて優しく微笑む妻を、説得する術を、真昼は持ちえなかった。 妻との最期の時間は、周囲にほぼ無理やりに少し長い休暇を取らされ、家族で過ごした。 「絶対に広輝は俺が守る。これから先もずっと。約束するよ」 「そんな約束、しなくても大丈夫よ」 「え」 「貴方がそうすることは、約束されるまでもなくわかっているもの。 　約束して欲しいのは……広輝と一緒に、貴方も幸せになってね」 「わかった。約束する」 即答したハズなのに、彼女は少し困ったように笑った。 オーヴァード歴は長く、20年近い。 レネゲイド解放後、ほぼ最初期からのオーヴァード。 中東の戦場で育った。 両親の記憶はあまりないが、どうやら日本人であったらしい。二人とも医者として戦地で医療活動をしていたが、テロに巻き込まれ死亡。 幼い身で孤児となり、両親と親しくしていた傭兵に引き取られて育ち、少年兵として戦場を生き延びてきた。 もちろん、政府などを頼って日本に渡り、平穏な世界へと行くこともできた（育ての親もその選択肢を提示してくれた）が、彼はそうしなかった。 傭兵の手をとり、戦いへと身を投じた。 両親を殺したテロリストへの憎しみから、ではない。 彼にあったのは願いだけ。少しでも戦いがこの世から減るようにという幼いながらの願い、それを抱えて、彼もまた戦いの火種の一つとなった。 引き取ってくれた育ての親も16歳のときに謎の超常現象（後にレネゲイド災害だと知る）に巻き込まれ死亡。自身もオーヴァードとなる。 事件を調べる中で色々あってUGN（の前身組織）と合流し、そこからさらに色々あって、今から12～3年前に両親の祖国だった日本へ。 なんやかんやで支部長になったり結婚したりしたのであった。 【戦闘用人格】 短い間ながら、思考能力・身体能力・レネゲイドの力を全て「射撃」という行為のために注ぎ込み、文字通り「戦闘用」の人格へと置換する技術。 さながら、オーヴァードという躯体をまるごと武器管制装置にしているに等しい。 オーヴァード化によって得たいわゆる「エフェクト」ではなく、研鑽によって手にした技術。ノイマンシンドロームによりその精度は上昇している。 優しい彼が躊躇いなく敵を撃ち抜くための、信念の象徴たる業（わざ）。 “おやすみの合図” ナイトシープ・テンカウント。 戦闘用の人格に切り替わっての超精密射撃。 アンチマテリアルライフルの弾を電磁力で超加速して撃ち出す必殺の一撃。 本来ならば反動と過負荷で銃も射手の体も壊れかねないが、ブラックドッグシンドロームの能力と、ノイマンシンドロームの精密なレネゲイドコントールを用いて、発生するプラズマを緻密に制御して反動を殺しきっている。 戦闘用人格への切り替えにより、自身を全て武器管制装置に置き換えるからこそなせる超絶技巧。

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