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臆病者の科学者。 非情に頭脳明晰で、家に籠って研究ばかりしている。 とはいえ、研究費や生活費は必要になるものなので、『塩苺街　生活安全課』への誘いが来た時に渋々了承。 この際、戦ってくれるアンドロイドIbを開発した。 Ibは非常に優れた性能を持ち、いつしか意思を持つようになった。 戦いは全てIbに任せて後ろに隠れ、生活費のためにバイトもさせている。 ------------------------------------------------------------------------------------ 幼い頃から賢かった彼女。 知能が与えたのはありとあらゆる物への危機感。恐怖だった。 賢い故にリスクを理解できてしまう。 無知でないが故に無茶をしない。 何気ない日常の風景ですら、彼女の目には危険で満ち溢れていた。 活発な子を望んでいた両親は、何もしていないのに怯えがちな彼女に愛想を尽かして離れた島にある孤児院へ預けることにした。 その場所が『聖檸檬教会』である。 教会は彼女を温かく迎え入れた。 しかし、それでも馴染めないのだ。 優しさや施し、そういったものにすら疑いの目を向け逃げてしまう。 思い遣りを無下にする不誠実さ、場所が変わろうともその本質が変わるわけではない。 不安に苛まれ、ぎこちなく、居心地悪く日々を過ごすことになる。 いつかの誕生日。 シスター・レモングラスから一つの贈り物をもらった。 それは可愛い女の子の人形だった。 彼女はその人形を受け取った時に一つの考えに至った。 製造物は自分を裏切らないのでは？ その日から、彼女は機械工学についてのめり込んで勉強するようになった。 探求の日々の中でオーヴァードに覚醒したが、そんなことは些事だった。 矮小な自分が得た力などで自身を守り切れるわけがないのだ。 シスターは熱心に取り組めるものが増えたのだと思い、就学、進学などの手助けをした。 天才たる彼女は機械研究の傍ら、表に出ないながらも学校で優れた成績を残し続けた。 そしてその日々は不意に実を結ぶことになる。 機械工学の知識を買われ、高額でのオファーにやむなく契約をかわした時に設計した機械。 自らを守る仕掛けをふんだんに施し、敵に対する攻撃力も十全に備え付けた。 数多もの試作品を経て完成したそれを、Ib（アイビー）と名付けた。 アイビーとは、贈られた人形につけた名前。 アイビーとは、誠実の花。 アイビーとは。自分を裏切らない誠実な機械。 どんな環境も、どんな功績ももたらすことのなかった安寧をその機械は与えてくれる。 彼女は安心の中で眠ることができるようになった。 そうして過ごしていたある日、機械はプログラムしていない単語を使い始めた。 どうやらレネゲイドビーイングが寄生し、意思を持ってしまったらしい。 使命を忘れていないようだが、意思はいずれ裏切りを生むのではないか？ 彼女の中にはまた、一握りの不安が芽生えた。 周りを疑う彼女は、疑いの対象であるIbにジャームたちと戦ってもらうのだ。 今まで守ってくれた彼女に感謝もせず疑い、不安に思う不誠実な愚か者。 勇気に無縁な彼女に転機は訪れるのだろうか。 少なからず、自身は勇気を望むことはない。 安寧、安全だけを求める怠惰な人間。 ------------------------------------------------------------------------------------ 彼女はジギタリス。 機械人形とはいえ意思ある者に依存し、盾にして逃げ回る臆病者。 自覚はあり、自己嫌悪もしているが立ち向かう勇気が出ない不誠実な人間だ。

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