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　母親は灯が6歳の頃に病気で亡くなった。しがない研究者だった父が、研究にさらにのめり込んで言ったのはその頃からだった。幼い灯には内容は理解できなかったが、周囲からは奇異の目で見られるような研究内容だったらしい。幼心にそんな父に対する微かな不安と、周りの大人達の父に対する陰口を覚えている。それでも父は優しかったし、灯もそんな父の事が好きだった。父との2人暮らしは灯にとっては楽しい日々だった。父と別れる事になるその日までは。 　灯が10歳のある日、父は突如失踪した。「人間より上位の存在による世界が存在する」、それが父が残した最後の言葉だった。その言葉の意味も当然理解できないまま、突如孤独になった灯は母方の祖父と祖母の元へ引き取られた。最初の数日間は現実を受け止めきれずに呆然としていた灯だったが、祖父と祖母の励ましもあり徐々に元気を取り戻していった一方で、度々一人で父の研究室に出入りするようになった。周囲の大人は、父の事が忘れられない少女の逃避行動の一つだろうと、あえて止める事はしなかった。 父がいた研究室に通う日々は年数を重ねても続き、中学3年生のある日、父研究所の中から厳重に保管されていた箱を発見する。興味本位で開封するとそこには石化したサークレットのようなものが入っていた。これも研究に使われていたものなのかと何気なく触った瞬間、休眠状態だった遺産が研究所に通いつめていたせいで体内に蓄積されていた灯のレネゲイドウィルスに接触した事で突如覚醒、遺産から発せられたレネゲイドに呼応する形で灯自身のレネゲイドウィルスも急激に活性化、オーヴァードとして覚醒すると同時に溢れだしたレネゲイドウィルスの力を制御しきれず暴走、自身の力によって父の研究室を吹き飛ばしてしまう。 　遺産による強大なレネゲイドの反応に加え研究室の爆発が重なり灯の覚醒はすぐにUGNの気付くところとなり即刻保護、更に覚醒時の経緯により遺産と適合してしまい本部の遺産専門チームであるナイトフォールの監視下でUGN本部に連れて行かれそうになるも、祖父母に心配をかけないためにもせめて日本の高校を出たかった灯はそれを拒否。モニター越しにナイトフォールの指揮官であるテレーズ・ブルムに土下座をかます荒業（？）の甲斐もあってか、定期的に最寄りのUGN支部に通いレネゲイドコントロールの訓練と検診を受ける事、及びUGNのイリーガルとして登録されることを条件に高校卒業までは日本で学生生活を送ることが出来る約束を取り付ける。更に灯の家庭環境を聞いたテレーズから高校入学の際の資金的援助までもらえる事となってしまう。事の重大さに改めて気づいた灯はそれから高校卒業までUGNイリーガルとして活動しつつ希望していた奨学金制度のある高校にかろうじて合格、更に祖父母にこれ以上迷惑をかける訳にはいかないと高校近くのアパートで入学と同時に一人暮らしを始める。それ以降は朝は新聞配達のバイト、放課後は日によってUGNイリーガルとしての活動、更に土日はフルタイムでアルバイトをして生活費とアパート代を稼ぎつつ週に一度は祖父母の家に帰って一緒に食事を取るという、勤労学生としての多忙な日々を送り今に至る。 　……のだが、現在灯はアルバイト代に加えイリーガルとして活動することによるUGNからの給金、更に（灯自身は断っているものの）祖父母からの仕送りによって生活している。彼女の家庭環境を把握したUGNから高校生の一人暮らしとしては無駄な浪費さえ避ければ生活に困らない程度の金額を給料として渡されているため、もはやアルバイトは半分趣味。最初は「周りの人達に甘えてばかりではいられない」との思いから始めた新聞配達だったが、アルバイトの中で一心不乱に体を動かしているうちにどこで道を間違ったか「勤労の喜び」に目覚めてしまい、気が付いたら土日もアルバイトを入れていた。罪悪感と迷惑をかけたくないという気持ちから仕送りにはほとんど手を付けず貯金しているにも関わらず、一人暮らしを始めてから節制癖（いわゆるケチなタイプではなく、計画的に1か月の出費を管理する事で手元に残った金額を見て達成感を感じるタイプ）が付いた事もあり、いかにも貧乏学生といった生活リズムを送ってる割に実は意外と小金持ち。アルバイト以外の趣味はベランダでの家庭菜園と祖母に教えてもらった糠漬けの管理、スーパーのチラシを見比べてより安い商品のチェック。寒い時期には部屋でちゃんちゃんこを着て上記の趣味に明け暮れるその姿は、高校生にして日に日に所帯じみていく。でも本人はそんな自分を気にしていない、というかそうなっていく自分に気付いていない。 　性格は上記の所帯じみた部分とワーカーホリック気味なところを除けば両親がいないという境遇を感じさせない快活な性格。基本的にいつもニコニコしており、座右の銘は「笑う門には福来る」。表情豊かで物怖じもしない方なため割と初対面からぐいぐい来るタイプであり、学校の友人たちからは「いい子なんだけどたまに軽く空気読めてない感じ」「いつも笑ってるからたまに何も考えてないように見える」「って言うかちょっとアホっぽく見える」という評価を受けている。失踪した父親については今でもかつての優しかった面影を覚えておりまた会いたいと思っているものの、父が残した最後の言葉の意味や、会えなかった期間の間に父がどう変わってしまったのか分からないという、期待と不安の入り混じった感情を抱いている。 　オーヴァードとしては光を操るエンジェルハィロゥと領域を操作するオルクスの能力が合わさり、淡い光を放つ領域を生成する能力を持つ。灯の場合領域を展開するのではなく「領域そのものを小型の光る刃として無数に精製・制御する」という形で能力が発現しており、コードネームの由来も刃の形が桜の花びらのように見える事から来るもの。刃となった領域による桜吹雪は実戦経験の少なさによる操作性及び命中精度の低さが欠点なものの、生成できる刃の多さによる物量と視認できる範囲全てという射程の長さから極めて広範囲・多数の目標への同時攻撃を可能とする。また、刃の一つ一つを強く発光させることによる目くらましや、それによって味方の攻撃を相手から視認させづらくするといった応用も可能。 　いつも笑顔なのは、本当は「笑顔以外の表情が苦手」だから。片親不在、周囲からの理解が得られない父親、そんな父親の突然の失踪……幼いころから、周囲からは「可哀想な子」「不憫な子」として見られることが多かった。境遇を知ると、いろんな人から同情、又は憐憫の眼差しを向けられた。子供心に自分が周囲に心配をかけている自覚があって、かつそういう見られ方をされることが心苦しかった。だから、なるべく笑っているように努めた。お母さんが好きだと言ってくれた自分の笑顔で、周りの人が出来るだけ心配しないですむように。優しい祖父母が好きだったから、2人の前では絶対に寂しいだなんて言わなかった。辛い時も苦しい時も、出来るだけ笑顔で務めた。周りからの不安な視線が、好きじゃなかったから。……ずっと笑顔でいるようにしていたら、気付いた時には笑顔以外の表情―特に、怒りや悲しみを表す表情が上手く作れなくなっていた。 　喜怒哀楽の「怒」と「哀」が表現できなくなっても、特に困ったとは思わなかった。そう言う感情は、出さない方が周りから心配されないから。でも、そうなった自分自身の事は『人としてどこかおかしくなってしまったのかな』と思った。そんな自分の事が嫌いになりそうだったけれど、それでもこの笑顔は絶やさないでおこうと決めた。もうほとんど覚えていないけれど、それでもお母さんが好きって言ってくれた笑顔だから。いつかお父さんと再会出来た時に、ちゃんと私だと思いだしてもらえるよう、昔と同じ笑顔で出迎えてあげたいから。……本当に、今の自分があの頃と同じように笑えているかなんて、分からないけれど。 　常に明るく振る舞っているが、根っこの部分は比較的冷静で理知的。周りから登場の視線を向けられる事が多く、また自身もそんな周囲の感情をずっと観察していたせいか意外と他人の感情の機微に鋭く、オーヴァードとなってからは資質によりそれが強化され見ただけで相手の人間の感情をうっすらと把握できるようになった（読み取れる感情には個人差があり、心を隠すのが上手な人には効き目が薄い）。どんな時も笑顔ばかりな自分が他人の心に鋭いだなんてと内心自嘲する一方「私みたいにどこかおかしくなる前に、相手の気持ちに何か伝えられたら」と、人様の事情にも得意の笑顔を武器にあえて空気を読まずに踏み込んでいく一面も持つ。 オリジナルDロイス　遺産：王冠 タイミング：オート　ラウンド間、エフェクトを1つ選択肢取得できる。この選択の際に制限はないものとする。使用には毎回1d10 のコストが必要　白猿は継続取得 取得したエフェクトは最大レベルでの取得、侵蝕率ボーナスは反映される 同名エフェクトの取得はシナリオ間は不可 制限：ピュア、リミット、アージ（自身の衝動以外込）、エネミーエフェクトなども取得可能。エネミーエフェクトのみGM側で代償を提示。

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